『DOOP ADVANCE』(MBS truth、2003年)、『そこに海があって』(mirage、2003年)、『ひめしょ!』(XANADU、2005年)、『鎖』(Leaf、2005年)、『群青の空を越えて』(light、2005年)も、動画組み込み表現の比較的早い実例である。そしてその後も、『プリズム・アーク』、『遊撃警艦パトベセル』(May-Be SOFT、2007年)などが現れて、この方向性をさらに継続展開させている。『蒼海の皇女たち』(anastasia、2008年)も、ムービーやカットインCGを様々に組み合わせて稠密な演出の織地を実現してみせた成功例として記憶に新しい。
これらの作品では、主にアクションシーンや大型人工物(兵器等)表現、エフェクト演出等のためにムービー挿入が行われている。しかし、PCゲームにおいてアニメーション表現を最も活発に利用してきたのは、やはりアダルトシーンである(註15)。3D系メーカーを別とすれば、現時点ではテックアーツの各ブランド(G.J?、May-Be SOFT、MBS TRUTH、OLE、SQUEEZ)が代表的とされるであろう。
技術的には、3D技術の普及と並んで、Adobe After Effectsに代表される動画編集ソフトウェアの発達によって、一枚絵をモーショングラフィクス加工することも容易になっている。技術面そして経済面での敷居が引き下げられていくとともに、これらの(擬似的、部分的)アニメーション表現もまたよりいっそう普及していくことが予想される。
註15) 「ErogameScape」の、属性「Hアニメ有り」のリストに登録されている作品数はすでに膨大である。POV「アニメーションがよくできているゲーム」への登録状況も参照。 |
【追記コメント】
例として挙げているタイトルはわりと適当だが、ブランドの広がりには配慮したつもり。2011年までのスパンで捉えるなら、なかでもlightの継続的な挑戦は逸しがたいのではないかと思われる。上記『群青~』ではグリペン離陸シーン(あんまり効果的な動画挿入とは思えなかったけど)とか、『R.U.R.U.R』ではセーバーハーゲンによる一斉砲撃(3D利用の動画としてはわりと作りがチャチかったけど)とか、プレイしてないけど『Dies』にもいろいろあったらしいし。
動画挿入を最も"楽しく"使っていたのは案外『パトベセル』かも。あと、本文でも書いたとおり『蒼海』シリーズも手が込んでいて良かった。航空機からの対艦攻撃、潜水艦の魚雷発射、駆逐艦からの対潜魚雷投下、等々が全画面または小窓カットインで動画表示された。やはりミリタリーものと(3Dモデリングによる)動画表現は相性が良い。
『朱』(2003)も、ほんの何箇所かで動画(AVI)ファイルによる動的演出を行っていた。
ちなみに『蒼海のヴァルキュリア』は、萌えキャラ風デザインでミリタリーものでハード性描写があるという点でわりと貴重な作品。他にもtriangle(2009年の『クラインハーゼ』)とか、最近では特にKAI作品とかもあるけど……あれ、これってわりと新しい――最近になって現れてきた――傾向なのかな。軍学校ものも、2005~2006年の『群青』、『ひめしょ!』、『オルタ』の時代から少し空いて、典型的な白箱系ブランドから『Hello,good-bye』(Lump of Sugar、2010年)や『愛しい対象の護り方』(AXL、2011年)が出てくるようになっているし。
……そういえばLump of Sugarもいろいろ演出を頑張っていると仄聞するけど、全然プレイしてないなあ。あと、AXLには『恋する乙女と守護の楯』(2007年)や『Princess Frontier』(2008年)のような作品もあり、けっして学園恋愛ものばかり制作しているわけではないが。
さらに余談になるが、『クラインハーゼ』は、コンセプトは好ましくはあったのだが、細部の粗さが……もったいない作品。反事象氏にはこの路線でもう一度再挑戦してほしい。
0 件のコメント:
コメントを投稿