2011年9月28日水曜日

演出論的覚書:Ⅳ章3節1款:キャラクターに関する演出

  《第3節:キャラクター及び作中世界に関する演出》

  (1)キャラクターに関する演出

  キャラクターは、演出の目的物としてこの分野で最も重要なものの一つである。ポルノグラフィックな内容を追求する作品においても、恋愛描写に主眼を置いた作品においても、またあるいはドラマティックな物語を表現しようとする作品においても、そしてゲームパートへの興味に動機づけられた作品においてすら、登場人物たちのキャラクター個性は常に重視される。個々のシーンの描写をいっそう鮮やかなものにするために様々な演出によって彩るのと同様に、あるいは物語に説得力を与えるためにそれに合わせて表現を精緻化していくのと同様に、あるいは作品全体の一貫した美的イメージを構築するために様々な技巧を凝らすのと同様に、それらと同じ意識の下で、キャラクターの魅力を最大限に引き出すための不断の演出努力がなされている。

  例えば活発なキャラクターが赤やピンクの頭髪に造形され、ミステリアスなキャラクターがしばしば薄紫色の髪で表示され、沈着冷静なキャラクターが黒髪であるといったように、キャラクター性(性格や「属性」)の表現に関する様々な表現文法がすでに確立されている。またあるいは「ツンデレ」「性格の対照的な双子」「邪悪ロリ」「戦うメイド」「男の娘(おとこのこ)」といったいくつものキャラクターモデルが、PCゲーマーたちの共通言語になっている(――いわゆる「ストックキャラクター」)。そしてさらに、それらを前提とした無数のキャラクターデザインの実践が存在する。



  【追記コメント】

0 件のコメント:

コメントを投稿