章構成に類似した構造的分割として、製品版とは異なる独自内容の予告編体験版を作成するブランドも存在する(――Erogos、Innocent Grey、すたじお緑茶など)。また他方で、作中作を伴う作品もある(――『Piaキャロット』シリーズやソフトハウスキャラ作品、そしてとりわけ『らくえん』と『長靴をはいたデコ』)。
註34) 次回予告演出を伴う作品も少なくない。古くは『With You』(F&C/カクテルソフト、1998年)において実行されており、その後も使用例は数多く現れている。とりわけpajamas soft、ぱれっと、キャラメルBOX、fengは、複数の作品で次回予告パートを含む話数制シナリオ構成を採用している。『WW&F』(MBS Truth、2004年)や『腐り姫』のように幕間劇の体裁をとるものもある。 |
【追記コメント】
『カルタグラ』 (c)2005 Innocent Grey
(上図・下図:)ゲーム進行の合間に挿入されるアイキャッチは、通常時は上図のような温和な色合いである。しかし、作中でも特に凄惨ないくつかのシーンでは、その直前のアイキャッチに、下図のように流血を連想させる色調のものが使用される。
このような予告的なアイキャッチ使用は、いわゆる「ネタバレ」としてプレイヤー(読者)の興を削ぐものだろうか? そうではない。むしろ、これから展開されるシーンに対するプレイヤーの期待を高めさせその想像力を刺激する呼び水として、優れた効果を挙げている。
『カルタグラ』と『フリフレ』のアイキャッチ演出については、すでに同じようなことをtw上でも書いた(twilog:2010年8月24日付)。
本編主要部分以外の要素によって様々な意味表出や方向付けを行うものは、当然ながら、無数に存在する。もっとも典型的でそしてきわめて効果的なものは、エンディング(エンドロールパート)のヴァリエーションだろう。例えば1996年の『雫』はすでに「ハッピーエンド」「バッドエンド」「トゥルーエンド」――これらは曲名でもある――それぞれのために3種の曲を用意して、エンドロールのBGMとして使い分けていた。
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